オーストリア調査

博士後期課程3回生の木原です。

 

この夏に、オーストリアの気候変動対策の調査に行ってきました。オーストラリアではありません。カンガルーがいない方です。

エスターライヒ州では、すでに電力の77%が再生可能エネルギーで供給されています。建築物からのCO2排出は、2005年~2016年の10年間で41%も減少しています。年間20億ユーロ(約2500億円)の投資が行われており、そのうち60%が断熱改修などの省エネに、40%が木質バイオマス暖房などの再エネに利用されているようです。

同州では、この夏に、新築建築物での石油暖房の利用が禁止されました。併せて、既存住宅向けに「オイルからの脱却」プログラムが実施されており、石油暖房から木質バイオマスボイラー等への転換のために手厚い助成が行われています。これをうけ、3月~6月の3ヶ月間だけ1600件もの更新が行われたそうです。

同州の省エネ連合のエヴァさんの「地域の脱炭素化によって『生活の質』を『保つ』のではなく、むしろ向上させること。つまり、脱炭素化がポジティブに認識されることが重要です」というコメントが印象的でした。

脱炭素社会づくりという、とてつもなく大きな目標に向けた歩みがこうした視点で進められていることに大きな刺激を受けました。日本での対策を考える際にも、彼の国の取り組みに、というより取り組みの根底にあるコンセプトに、大いに学ぶべき感じます。

 

写真上:エスターライヒ州都 リンツの夜景

写真下:州省エネ連合事務所の窓(トリプルガラス+外側での日射遮蔽)

H.Kihara_2019.10.08

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